ビアス『悪魔の辞典』と「ダブルユー」
W(ダブルU)
Wはアルファベットの全ての文字の中で、唯一かさばった名前である。他の文字は単音節なのに。
(中略)
Wの名前を(たとえば「ワオ」とか読んで)単純化すれば、われわれの文明は、発展はしないかもしれないが少なくとも、もっと我慢しやすいものにはなるだろう。
あーなるほど……いわれてみればWだけ(英語では)2音節なんですねえ。
日本語でもカナ書きだと「ダブリュー」……5文字も必要で、これまた確かに最長ですね。
最近ではこの文字は辻希美、加護亜依のユニット名「W」(ダブルユーと発音)として使われてますが、声に出して読むのにはエネルギーの要る音の並びですし、字で書けば基本的にはわずか1文字(W)のはずが、逆に短すぎるために結局「W(ダブルユー)」みたいに表記するしかなく、けっこう字数が長くなったりします。
さてしかし、日本語では、よく浸透したコトバほど「カナ書きにして4文字未満」の省略形が自然発生して定着するケースが多いわけで、Wの生みの親的ユニットであるモーニング娘。も、初期から「モー娘。(モームス)」が通り相場となっていました。
ということで、この「W」についても、今後もう少し定着していったら、(勝手な予想ですけど)ファンの間で自然発生的に、
「ダブユー」
「ダブ」
普通にドイツ語読みして「ヴェー」
……みたいな省略語が定着していくかもしれません。あえて「UU」と書いたり「ユーユー」と発音するのもありかな。
で、それがだんだんに「W」という字そのものの日本での一般的読み方にフィードバックされ、
「日本ではWという字は普通"ユーユー"と読む」
「英語圏の人たちも"なるほど、そのほうが便利だ"と思って真似し始める」
なんてことに……なったら面白いんで、あながち「ありえない」ともいえない、ということにしておこう(^^;。
かくしてビアスの願望は日本のアイドルタレントのおかげで21世紀にようやく現実のものになったのだった……なんてね。
……と、以上、たまたまトイレでこの「悪魔の辞典」をパラパラ読んでて「W」の項目を見かけて思いついた妄想的無駄話でした(^^;。
※つけたし※
ビアスの「悪魔の辞典」は、辞書の形式を借りつつ諧謔とユーモアに満ち溢れた(ちょっと偏屈な)箴言集の草分けで、芥川龍之介が影響を受けたり、今でもネタに困ったコラムニストとかがよく引用する本として有名です(^^;。いろんな訳本がありますが、特に筒井訳版は、あえて思い切った意訳や注釈を加えることで、ビアスの原著の「精神」に迫った本として著名。読んでソンのない(でも、影響されすぎないように注意したほうがいい)一冊であります。
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